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人の恋路を笑うのはなんとかだと言うが、この場合は生暖かく笑えばいい気がする。
「じゃあね」
アルベルトは立ち上がり、歩き出した。
書庫へ向かうと、ラビィが扉の前に佇んでいた。こちらを向いた拍子に、ぴょん、と耳が跳ねる。
「あ、アルベルト」
アルベルトの心臓もきゅんっと跳ねた。彼女の身体を引き寄せ、上目遣いで覗き込む。
「今のかわいいなあ……もういっかいやって?」
ラビィはびくりとしたあと、ぷいっ、とそっぽを向く。またうさぎの耳が跳ねた。
「何言ってるの。やらないわ」
早く鍵を開けて。そう言ったラビィの首筋が真っ赤だったので、アルベルトはくすくす笑う。
(ああ、もう、かわいいなあ)
できるならこのまま羽交い締めにして思う存分もふもふしたい。しかし、今日はラビィがデートに誘ってくれたのだ。彼女の機嫌を損ねるようなことは避けたい。書庫の鍵を開き、扉を開けると、ラビィがわあ、と感嘆した。
「本がたくさん」
たたっ、と中に駆け込んだラビィが、目を輝かせて室内を見渡した。アルベルトは、その様子に瞳を緩める。
「どうぞ? どれでも好きなのを読んで」
「じゃあ……」
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