モニター当選

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モニター当選

その宛名は確かに私の名前“坂木いずみ”になっていた。 箱を開けてみると、そこにはまるで本物の肌のような質感の義足が布や紙に何重にもくるまれて収まっていた。 突然のことに驚いたが、よくよく聞いてみるとアプリを通してモニターに申し込まれたということだった。 モニターと言うことで毎月そこそこ長めのレポートは必要だし、たまに会社へも訪問しなければいけないようだが、金額はかからない。 数日前にあるアプリを見つけていたからぢ。無くした物を、書き込めば何でも送られてくると言うもの。 中高生の間で流行っている噂に乗っかり誰かが面白半分で作ったモノだろうとは思ったが書き込んでみたのだ。 住所氏名の他にもサイズや失くしたモノに対する思い入れ、失くした経緯など書く欄は意外に多く面白半分にしては細かいつくりだった。 希望の商品は10年前に事故で無くした私の右足 原因になったヒトのモノを希望と書いた。 でも……と、もし本当にあのおじさんの足なら嫌だなぁと届いた義足を見ながら呟いた。
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