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「俺さあ、昨日嫌な夢見たんだよね」
軽井沢町立山中小学校に通う、6年生の菅沢良平は、隣の席に座っている、親友の和田琉斗に、今朝方見た怖い夢の話をしていた。
一通り話を聞いていた琉斗は、夢の話を聞いているうちに、最近学校内で噂になっている話を思い出した。
「夢って言ったらさ」
町の北のはずれにある藁ぶき屋根の廃屋。日本がまだ海外との国交のなかったはるか昔に、どんな願いもかなえるという老婆が住んでいたという。
「あのぼろ屋の奥の仏壇に向かって、『夢を叶えて下さい』って三回唱えると、その老婆の霊が、叶えてくれるって話、聞いた事ない?」
「知らない」
良平は興味なさげにあっさり答えた。
「良平君、サッカーの選手になりたいって、いつも言ってるよね」
「なりたいじゃなくて、なるの!なって、日本のエースストライカーになるんだ」
興味のある話には、食いつきがいい。
「じゃあさ」
「何?」
「試してみない?」
「何を?」
「だから…」
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