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放課後、良平と琉斗は噂の廃屋へと向かっていた。
「でもさぁ、結果が出るのって十年以上先やん」
「まあまあ、やっといて損はないじゃんか」
なんだかんだ言っても、良平も絶対にサッカーのプロ選手になれるとは、心からは信じ切れてなかった。学校のチーム内でも、まだイレブンに選ばれたことがなかったからだ。
「取り敢えず、部活で選抜選手に選ばれるようにお願いしてみようかな」
プロの選手になれるとは思えないくせに、おまじないは信じてしまう。
「で、琉斗は?」
「え?」
「どうせ、何か叶えたい夢があるから、俺を巻き込んだんだろ?」
図星だった。
言える訳がなかった。
まだ、誰にも言ってないその想い。
同じクラスの岩原由佳ちゃんと、両想いになりたいという想いを。
「ま、まあいいじゃん、僕のは叶ったら教えてやるよ」
「なんだよ、教えろよぉ」
そう言って、じゃれ合うように、良平は琉斗の首根っこを羽交い絞めにした。
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