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ー俺さあ、昨日嫌な夢見たんだよねー
琉斗は、学校での良平との会話を思い返していた。
ー学校の帰りにさ、突然怪獣に踏み潰されて、その後食われちまうんだよ。ホント、怖かったー
それは、ついさっき目の前で起きた惨劇と同じ内容だった。
琉斗はそこで気付いた。
ーそう言えば、僕は今朝は夢を見ていないー
そして理解した。
あの廃屋が叶えてくれる「夢」とは、「願い」ではないという事を。
直近に見た「夢」を現実にするという事を。
現実には、人は睡眠中、何らかの夢を見ている。ただ、目覚めた時に憶えているか憶えていないかなだけである。
琉斗はその日見た夢を憶えていなかった。
だから琉斗には何も起こらなかった。
もしその日に、由佳ちゃんとデートする夢でも見ていたのなら、琉斗の「夢」はかなっていたのかもしれない。
もし、その日に・・・
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