ジェラシーはいずこへ

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「ふぁっきゅー!」  放課後の閑散とした教室が揺れる。そして、真子(まこ)は教室を飛び出した。単純明快、俺の隣に女の子がいたからだ。馬鹿馬鹿しい理由だが、真子なら勘違いしかねない。 隣にいる緒方さんはニヤリと笑った。 「一緒に帰ろうとしてたんじゃない? ほら、真子って不器用だから」 「不器用というか感情的というか……」  シャーペンの尻を顎にあてがい、眉をひそめる。俺は学級日誌を書いてただけなのになぜ怒られにゃならんのだ。そんな感じの抗議をすると、緒方さんはやれやれと肩をすくめた。 「似た者同士は惹かれ合う、ってね」 「何が言いたい?」 「真子の嫉妬も少しは分かってあげなさいってこと」  俺の手元から学級日誌を奪い取ると、緒方さんはさっさと教室を出ていってしまった。 その晩、布団の中で考えてみる。自分で言うのも何だが、真子は少なからず俺に好意を寄せてくれている、はずだ。それなら、俺にとって真子とは何だ? これまた少し恥ずかしいが、俺も真子のことは嫌いではない。むしろ好きだ。だけど、どうしても決断ができない。宙ぶらりんなこの状態に甘えている。結局のところ、俺の意気地がないのが悪いのか? だったら俺はどうすればいいんだ?
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