バイト君の悩み

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俺の名前は、葉剣(はけん)媒人(バイト)。 名前のせいもあって、バイト君とよく呼ばれる。 「……ふぅ」 俺は深いため息をつく。悩みが無いと言ったら嘘になる。俺はつい最近バイト先をクビになったから。 俺には人に話しても理解されない特技(?)と言うか、特殊能力(?)を持っているからだ。 ……それが原因でバイト先をクビになったのだが。 学生の時にもそんな話をした事はあるが、やはりどこかインチキ扱いされて、俺の周りからそれまで仲良くしてくれた友達が離れていったので、止めた。 他にも似た臭いを持つ人もいたが、中二病くさい。 他人からすれば、同じ様な部類にあったのだが。 俺はアテもなく街を彷徨(うろつ)く。 東京都・真珠(しんじゅ)区が僕の居る街。 昼間には人波に溢れ、夜にはネオンが煌めく。 人は多いが、他人に構わない都会の空気が流れる。 それでも便利だ。俺のように仕事が続かない人間にとっては、掃いて捨てるように求人先がある。クビになっても次を探せば、仕事は見つかる。
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