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わかばさんの側に、最近になって背丈の高いスーツを着こなしている感のある「白い人」が側に立つようになった。
それから暫くすると、彼はタバコを変えた。
いつも買っていた「わかば」から「セブンスター」に変わり、数カートンを月1で購入するようになったのだ。
「わかばの人、タバコ変えたけど何かあったの?妙に羽振りもよくなったようだけど……」
バイトが同じ時間の方に訊いた。
「彼は小説家になったんだよ。ほら、少し前の直木賞を獲った人居ただろ?彼がそうらしい」
名前を検索して調べたら、顔の特徴が同じだった。「白い人」の正体は担当のようである。
白い人よりも黒い人の確率が高いのは、人に訪れる不幸と幸運の割合を比較すれば、不幸な方が多い。貴方もそれは実感出来ると思われる。
俺が「ソレ」に気付いたのは、皮肉な事に身内が最初だった。
俺の家族に「見える人」は居ないので俺だけだと悟ったし、母親に「ソレ」を話した事もあった。
「他人には、その話はしない方がいい」と言われた事を実感するのは、小学生だった事もありタイムラグを要したのは若気の至りだ。
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