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店の中は暗く、薄明かり程度の間接照明とその内装が「占いの館」感を演出している。
目が暗闇に慣れれば、人の輪郭程度は認識出来るが、コンビニのようにはっきりとは分からない。
多分プライバシーの保護とか、そんな名目はあるだろうが強いて言えばその程度だろう。
「あら……お客さんなの?」
声から察するに彼女は、ポニーテールとおぼしき髪を結っている。羽織、袴姿で侍のコスプレでもしているのだろうか?
「そ……そうですが、貴女は……?」
俺は彼女が店の主人だと思ったが、占いに侍は間違っている。思った考えは消す事にした。
「……そうね、ここの館の主と縁の深い女。そう思ってくれれば間違いないわね」
「……なら、館の主はどこに……?」
「わたくしはただ遊びに来ているだけ。
ご自分の目で探したらどうなのかしら?」
彼女の言う事にも一理ある。店番でもなければ、他人の家に上がり込んでいる客人に訊くのが、そもそもの間違いだ。
俺が辺りを見回していると、ぼーっとした「白い人」がいる。例の能力だろうか?
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