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その時だ。
「ただいまー」
聞きなれた愛しい声と同時に部屋の扉が開くと、そこから現れたのはもちろん彼女。右手には俺のための野菜が握られている。
部屋に入るや否や彼女は男に目を向けることなく俺の方へやってきてくれる。
ほらな。やっぱり俺が一番なんだよ。勝ち誇った目で男を見れば、その情けない顔が俺に向けられたままだ。
「祐樹君もケイトにご飯あげる?」
「…え?」
いやだっ。こんな男からごはんなんてまっぴらごめんだ。俺は鈴からがいいのに。
「え、いや俺は、その…いいかな」
「えー、もう二人とも仲良くしてよ…」
絶対いやだっ。
「嫌っ、俺ちょっと…」
何を偉そうに。俺の方がお前なんかと仲良くなんてするわけないだろう。
「あ、じゃあ少し触ってみる?かわいいよー」
絶対無理!
「絶対無理!」
それはこっちの台詞だ、優男!
彼女が浮気をしているのかもしれない。でも本命は俺だ。それは間違いない。
だとしても俺はこんな男とは仲良くなれるわけがない。
お願いだから、早く俺だけを愛してくれますように。
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