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こんな俺たちが一緒に過ごせるのは、彼女が学校から帰ってくる夕方からだ。帰ってきて、今日あった出来事などを彼女が話して笑って、時々愚痴も聞いてあげるている。ある程度話し終えると、彼女はとても安心したようにして俺の頭を撫でてくれるんだ。こうして互いに触れ合える時間がどれだけ幸せか。だから、邪魔なんて入らない。そう、思っていたというのに。
「じゃ、じゃあ今度の休みはどっか行かない?」
「んー、どうしようかなあ」
ここ最近ずっと、この男が俺と彼女の二人の時間を邪魔するんだ。
いつの頃だったか突然この男が現れて、彼女の部屋で何故か隣に並んでくつろいでいる。彼女が着ている制服の男物を着てるし、かばんも同じ学校指定のものを使っているから、恐らく同じ学校の男なのだと思う。しかし、今までこんな男の存在を彼女の口から一度も聞いたことがないのにどうして突然現れたんだ。しかも、どうしてこいつは俺の目の前で彼女に近づこうとするんだ。離れろ、変態。
しかし彼女も彼女だ。何でこんな細い頼りなさそうな男を部屋に入れるんだ。こいつに一体何が出来るんだよ。確かに俺は温室育ちの男かもしれないけれど、こんな優男より十分男らしいし、肌もツヤツヤだし、何より凛々しい顔立ちをしている。それに彼女を癒すことにかけては郡を抜いている。過ごしてきた時間だって俺の方が上だ。
それなのにだ。
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