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俺が彼女にその男から離れろと何度忠告しても、彼女はこうしてこいつを部屋に招き入れる。まだ俺は心が広いほうだから、こいつが友達であるということとして許してはいるけれど現れる頻度が高くなっている気がする。そろそろここら辺で釘を刺しておいた方がいい気がするな。一発俺の鉄拳を食らわせるべきか。それとも脚か。
そう唸るようにして考えていた時だ。俺の目の前で男が彼女の肩に手を回そうとゆっくりと動いたのがはっきりのこの目が映し出した。
こいつ、また。
また、というのは前にもこいつはこの部屋で、しかも俺の目の前でこんな風に彼女に触れようとしたことがあるからだ。彼女に触れていいのも、触れられていいのも俺だというのに。この男は図々しくも彼女に手を回そうとするんだ。性懲りもなくだ。前の時は俺が物音を立てたから慌ててその腕を離したが、こうして何回も目の前でされると流石の俺も堪忍袋の緒が切れる。
いい加減にしろよ。
男の手があと少しで彼女の肩に回ろうとした瞬間、俺の頭の中で何かが切れるような音がした
。
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