七歳

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 会話のやり取りは、全て彼に筒抜けだが構わない。本人だって、どう詰られ蔑まれようと、己の願いさえ通ればそれで構わないはずだ。  土下座していた男が顔を上げる。人生の疲労を刻むように額や頬に幾筋も入った皺や、肌艶の悪さは別人のようで、困窮しきった姿といい、当時の面影はほとんど残っていない。 「榛名は当時から大人びた顔をしていて、女子にすごくモテてたんですよ。はっきりした顔立ちだったから、当時は老けてるってよく茶化されてたけど」  数秒前まで頭を床にこすりつけていたとは思えない調子で、自然とこちらの話に入ってくる。空気が読めないのは相変わらずのようだ。  当時は丸みのある顔立ちに、少し離れたつぶらな瞳が柔らかい印象で、場は読めないが、妙な愛嬌があって憎めなかった。しかし、今は可愛げなどないいい大人だ。少し頭が足りないと思われてもおかしくない。そんな振る舞いをするかつての同級生を見るのは、正直面白くない。 「老け顔はある時期を境目に、逆に若く見られるっていうもんな。なぁ、こいつの高校時代ってどんなだったの?」  余計なことを聞くなと、榛名が視線で牽制しても、ニヤつく同僚のずうずうしさにはかなわない。 「榛名はすごくモテるのに女の子と付き合うこともなくて、勉強も校内じゃいつも一番でした。僕の自慢の親友でしたよ」     
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