4月1日 大いなる緊張感

1/6
前へ
/53ページ
次へ

4月1日 大いなる緊張感

 199X年4月1日。研修員になって一番最初の日。午前9時に集合。岩出市の小学校に勤務している丸西のり子さんは、1時間も前からやってきて、センター長室でふかふかのソファに座っている。センター長は、会釈を交わし互いに自己紹介をした後、部屋から出て行った。その後、一人ぼっちで座っている。座り心地がいいので眠ってしまいそうだ。午前9時5分前頃から一斉に残りの7人が部屋に入ってきた。他の人も30分ほど前にセンターに着いていたが、自分の車でそれぞれテレビを見たり、音楽を聴いたりしていたらしい。  みんなが揃い、いよいよ承認式。まだ、何がどこにあるのか、右も左も何も分からないので、前の人がすることを真似するだけだ。みんな自分が先頭にならないことを祈っている。  2階にある中会議室の研修員承認式の場で、 「みんな、私よりきっとすごい人たちなんだ。」  それぞれが勝手に思っている。  研修員、8人全員が緊張し、辞令書をもらう手も震えがちになる。年長の丸西さんが代表で着任の挨拶となったが、噛み噛みの状態で声も震えている。 「私、いや私たち7、8人の研修員は今日から〇△×教員養成センターでお世話します?」     
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加