4月1日 大いなる緊張感

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 もちろん、丸西さんも何を一番に話をするのか考え、要求を全部通したいと思っている。  承認式が終わって、まだ1時間ほどだが、研修員8人の心が少し繋がり始めている。  もうすぐ、お昼。級長の丸西さんがみんなに、 「お昼ご飯食べに行きましょう。和歌山市の先生、案内してね。」  今日は、センター初日でめでたい日なので、個室でゆったり座って食べられる場所を考え、渡さんと私で相談して、和歌山市内ではなかなか有名な和食の店に予約を入れる。  初めは、みんな静かに座っていたが、徐々に打ち解け、話に花が咲いてゆく。  折しも、紀州五十五万石。和歌山城は、花見でこぼれんばかりの人盛り。歓声が飛び交い、あちらこちらで大盛り上がりになっている。部屋の中では、箸を運びながら自分の住んでいる街のこと、それぞれの学校の様子をしゃべっている。橋本市の早乙女さんは、世界的にも希な人魚のミイラの話をしている。 「僕の勤めている小学校の近くに神社があり、そこで、昔から言い伝えがあってね。」  有田市の中学校に勤務している一番若い太田太一(おおたたいち)さんが箸を途中で置いて、すごく反応して興味深く聞いている。     
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