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「電話がかかってきてね震えながら電話に出ると―――消えたはずの友達からの着信だったんだって」
一つ、また一つと語られるたびに消えていく蝋燭………あんなに沢山あったはずなのに蝋燭は最後の一本となってしまった。
最後の一話が語られれば百物語は終わる、これでやっと終わるんだ。
「じゃあ最後の一話いきます」
皆が耳を傾けるなか山本君は面白げにこちらを見るとそっと耳打ちしてきた。
「一番怖いのは百物語が終わった後だよ」
「それってどういう………」
意味なのか聞こうとしたけどすぐに視線はそらされてしまい私も黙って話を聞くことにした。
「百物語の終わりって知ってる?
百物語はずっと語り継がれていくものなんだけど百話全部語った後ってどうなるか知ってる?
一般には妖怪や幽霊に出会ったと聞くし実際に江戸時代に百物語をした後に妖怪が屋敷を訪れたという話が残っているわ
だけどね、皆バラバラなのよ―――百物語が終わった後に体験したことが全部。
だからね百物語の真の恐ろしさは終わった後なのよ………
最後の蝋燭が消える、静まり返った教室を1分2分と時が過ぎていきだいぶ経っただろうか?電気をつけるとそこには―――山本以外誰もいなかった
「ねぇ………皆は!?」
「消えたよ」
一瞬で消えたクラス全員に震えが止まらない私、山本君はそんな私を見てゆっくりと近づくと身体を抱きしめてきた
「ねぇ、エミリーそろそろページも終わりだね」
「山本君………」
「ジャックだよ、エミリー」
そう言って笑った彼の目は………
恐ろしいくらい綺麗だった
(もうページもあまりないよ)
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