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プロローグ
――それならいっそ、女になればいいと思った。
高校三年のとき、生徒指導の男性教諭に呼び出され、二人きりの教室でいきなり押し倒された。最初は、何が起きたのか理解できなかったが、猛々しい男性の象徴を、性器ではない器官にねじ込まれ、ようやく自分が犯されているのだとわかった。相手は教師で自分は学生であり、立場的にも逆らえないと悟り、途中から抵抗するのもやめて、すべてを受け入れた。時間が経過するにつれ、不思議と嫌悪感はなくなり、こういうものか、と、どこか冷静になっている自分がいた。
そして事が済んだ後に、男は身なりを整えながら吐き捨てるように言った。
「君が誘惑するから、こんなことになった」
それから、学校帰りに見知らぬ男に公衆トイレに連れ込まれたり、塾で事務員に監禁されたり、やたら男に襲われ犯されることが多くなって、高校を卒業する頃には「またか」と思えるくらいに男に襲われることが日常になりつつあった。
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