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悶々とする私の前で,娘さんたちはパンフレットらしき物を見ながらキャッキャと楽しそうに話している。
私は微笑ましく見守りつつも,その中に入れないことがもどかしい。
「ねぇ,どこ行くの?」
「俺らとカラオケ行かねぇ。」
「どっから来たの。」
なんだコイツらは。我が愛しの娘さん達をナンパしようとでもいうのか。くそ。私がこの場から動けたら正義のヒーローのように颯爽として娘さん達を助けるのに。だが,どんなに頑張っても動くことは出来ない。くそ。
「あっ,あの。困ります。」
「こんな奴ら無視して,いこいこ。」
娘さん達が行ってしまう!
ナンパなんてしやがるから!娘さんたちのキャッキャうふふが終わってしまうではないか!
許せん!許せないぞ!
私がこんな苦行に耐えられるのも,可憐な娘さんたちのキャッキャうふふがあったればこそ!
それなのにナンパ男め!
私ですら声をかけることは出来ないというのに!
このナンパ男め!
許さないぞーーーー!
私はさらに力が入ってしまった。
「きゃっ」
――しまったぁ。
大量の水が噴き出し宙を舞っている。
娘さんたちにも降り注いでしまった。
ナンパ男達は,私の憤怒水を頭から浴びると,文句を言いながら去って行った。
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