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今日は晴天であった。
駅前の噴水には,待ち合わせをする人たちが大勢いた。
どの人も休日を楽しむためのオシャレに余念が無い。
そんな人集りに小さな虹の橋が架かった。
人々は一瞬で噴水から離れ,虹に気がつくとスマホで撮影を始めた。
私は動けない。
噴水の真ん中で局部から水を流し続けるだけの存在だ。
私は小便小僧。
局部を露出して水を流し続けていても,だれも笑ったりしない。
人々の待ち合わせ場所として,ずっとこうしてきた存在。
唯一の楽しみは娘さん達のキャッキャうふふ。
そんな私にも望みがある。
100年経って,付喪神になった暁には……。
いや,まだ言うまい。
私は小便小僧。
楽しそうな人々の輪に入れず,悶々とする嫉妬心を股間の噴水で消火しているモノでしかないのだから。
――おしまい。
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