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「もともと、ブラックは、嫌いだけど、まさかこんな、化け物とは、ね」
「だぁから・・・まぁいいや」
ゼンはハァと溜息をついてチェネシスから視線を外し、その向こうを見る。
「これから本物の化け物が来るし」
「な、に?」
「来た早々化け物扱いとは、相変わらず冷たいなぁゼン」
今までしなかった足音が、カツンと一つ、響き渡る。
それはノアが現れた時と似ているが、けれど決して似つかないもう一人の化け物。
「・・・アザミ?」
足音のした方を見れば、政府とは反対側から来るアザミの姿があった。
「やぁセツナ・・・なんだ、腕を怪我したのか」
袖を捲ってもいないというのにその腕を見ただけで分かるなんて、本当にゼンの言う通り化け物である。
セツナが大丈夫だと言う前にアザミは「グレイ如きに怪我をするなんて、あとでお仕置きだな」と、ニッコリ笑う。
「カゲミナに、リオに、セツナに・・・勿論、ゼンも」
「なんでさ」
「後ろに隠してもダメだ。お前の血の匂いがする」
「・・・ホント化け物め」
「今回のは褒め言葉にとっておこう」
それに本当の化け物は。
「自分の飼い犬が殺されようとしているにも関わらず動かないアイツの方だと思うがなぁ」
アザミは政府の階段に座っていたノアを見た。
「久しいな、ノア。そんな高みで見物か」
「ゲームの王様は最後の最後にならないと動かないのが普通だと思うが」
なぁ―――?
「―――兄さん」
サラ、と。
風で白い髪が揺らしながら、
ノアは微笑んだ。
Chapter6
End
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