五.解析結果

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「斗真、今日は中華らしい。」  はぁとため息をつくと、智明の手を引いた。 「智明さん、緊張しなくていいと言っても緊張すると思うので、あきらめてください。」 「俺に何が起きるんだ? 」  行きたくないという選択肢がないことだけはわかった。  たどり着いたのはラフな格好で入れるのか不安になりそうなほどの高級中華料理店だった。案内された個室には母と知らない中年男性と拓真がいた。 「智明、なんだか顔色良くなった? 」  談笑していたらしい。立ち上がった母と並んだ中年男性は言われなくても斗真に似ているので、父親だと分かった。彼の高校時代を思わせる、優しく穏やかな微笑みに、端正な顔。背も高い。 「初めまして、智明君。斗真の父の真琴です。」  その顔は初めて会った時の斗真にそっくりで思わず見つめてしまった。 「智明。」  母に言われてはっとした。 「葉山智明です。」 「貴方もう白宇居姓でしょう。」  母が冷静に言う。 「周さんもお久しぶりです。」  母の言葉に、ついきょろきょろしてしまった。 「白宇居先生がうちに最初にいらして、ご両親をご紹介くださったの。その後斗真君がうちに来て、あんたのこと話したの。」  拓真が両手でピースを作った。この時初めて、智明は斗真が拓真に辛辣だった気持ちが理解できた気がした。そしてこんなにラフな格好をした弁護士は昔の月九ドラマで見て以来だと思った。 「弁護士と博士の息子さんなんて羨ましいですわ、ってお話ししていたんです。」  母が微笑む。 「葉山さん、でも中身これですよ。」  周が指さして言った。自分も指させるほどのものではないと思う、という言葉は智明の胸にしまっておいた。 「その時はまさか息子さんとうちの子が結婚するとは思わなかったけれど。」  斗真に微笑みかけた。 「俺も、バーの名前が智明さんと同じ名前じゃなかったら葉山さんがオーナーの店だと気づきませんでした。」
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