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江戸時代の日本には、大きく分けて七種の仮親がいた。
帯親、
取り上げ親、
抱き親、
行き会い親、
乳親、
名付け親、
守親だ。
疾患に対する医療措置が限られ、病は魔や鬼の働きとされた時代、子どもが生存し成長する確率は儚いものがあった。
治癒を祈願する祈祷もあったが、現代にも通ずる、最後にして最善の対抗手段は地域コミュニティの絆だった。
大人たちは地域毎に団結・協力して、自身の子でなくとも、子どもの生命を守っていたのだ。
人間を守れるのは、人間性だけだと言える。
こどものつるぎとは運動体である。
こどものつるぎとは親の異名である。
力ある親は、つるぎとなって、脅威から子どもたちを守る潮流そのものとなった。
しかし敵の精鋭『疑問を抱きし者』の悪知恵は、親の愛をも利用するに至る……。
やがて潮流は途絶え、人類に残された子どもは一人のみとなった。
子の名は一滴の名を冠するしづく。
そして彼女を守るのはただ一人、藁で出来た青年だった……。
これは水の物語。
ぶつかり合う荒波より生まれた滴の成長記。
これは糸の物語。
人類史という縦線と侵略という横線が織りなす、一枚のビロードに描かれた破壊と創造の紋様。
これは勇者の物語。
一人の愚者が、子どもたちを、人類を、地球を、やがてまた別の未来を救う勇者となる、絶望と希望の英雄譚。
…………あなたが思う結末では、きっとないけれど。
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