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4歳児も精一杯の抵抗を行うが、敵は公園にある樹木よりも硬く、鉄棒よりも冷たい。今まで出会ったどんな大人よりも冷酷にして精密に動いた。
首ねっこを掴まれ、「げほげほ」、「ふぅふぅ」と、咳や、痛みを逃がすような呼吸が聞こえた。
父親は懇願した。「やめへくえ」とろれつが回らない。舌を噛んでいた。
白米を盗み、子どもを誘拐していることから、スターサバイバーの好物は『白米を食った子ども』と言われていた。
父親は涙を浮かべ、床を殴り、スターサバイバーの後ろ肢を叩いた。しかしすべての懇願も抵抗も空しかった。
全裸の母親が風呂場から飛び出し、その手から血が噴き出すのもかまわずに、割れた鏡をスターサバイバーに突き立てた。
それが無駄だと分かると、割れた洗面台を持ち上げ、頭部を殴った。しかし無駄だった。
「ママ! パパ! ママ、ママ!」と息子の泣き叫ぶ声に、背後では娘の泣き叫ぶ声も聞こえた。
母親もまた泣き叫びながら、我が子を抱き締めて、外敵から引き離そうとした。
スターサバイバーは一連の様子を数十秒間、不思議そうに観察していた。
親が子を命懸けで守る姿は、結果として稚魚に成魚が食いつくようなので、彼らにとって「獲物が増える」や「獲物の弱点」という学習を与えたのかもしれない。
その情報は、破滅の七夕において、種族内で多いに共有される。
この個体はそれを学習すると、空いた前肢をふりかぶり、まずは母親のほうの首をかき切ろうとした。
首の骨まで到達するとスターサバイバーの外殻であっても接触の衝撃で多少の損傷をきたすので、柔らかい動脈を切ることによって人間が動かなくなるのを知っていた。
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