第五話 6と6・5のつるぎ

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──ハロウとしづくは、いもいもくんの助言ですぐに移動を開始した。 しかしハロウの損傷が酷い。しづくは急いでハロウの身体の部位をかき集めると、売店があった小さな建物の中に避難した。 その際、しづくはある物を拾う。 地面でぼんやりと光っていたので拾ってみたが、光ったのは一瞬で、すぐに暗くなった。 それは手鏡のように薄く四角い物体だった。しづくが両手で持つと、すっぽりと収まる大きさだ。 テレビのように片面が光って見えたが、今は稲光を反射する黒い画面だけになっている。画面には亀裂が走っていた。 しづくは暗夜を見上げた。亀裂は、高いところから落ちて出来たように思えた。 「何やってる、風邪引くぞ!」 と売店のほうから、いもいもくんの声が聞こえた。 しづくはすぐにその物体を放り投げ、走りだす。 地面に放られたはずみで、また光った。 画面には時刻らしき数字が浮かんでいる。 それは、昭和74年のこの世界には存在しないはずのアップル社製の『アイフォーン』だったが、しづくにはそれを知る由もなかった──。 テナント内で、ハロウは自身の縫合を開始、その間にヤトゥリバとの闘いで得た情報を整理していた。 ハロウは腹に糸を通しながら言った。 「こどものつるぎは、親だった……」 いもいもくんが大きく頷く。そして小さくこう言った。 「……子どもがさ、誘拐されて……恐怖したとき、まず初めに、何を想像すると思う?」 「……パパやママが、助けに来てくれるすがた……」 しづくがそう答えた。  
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