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いもいもくんは再び大きく頷いた。
「そうだ。子どもたちの危機に、子どもは親の助けを切に願った。
それによって子を守るヒーロー、こどものつるぎが生まれた。
その力の源はやはり子どもの創力だ。
バレてはまずいと、つるぎたちはある協定を決定した。それは『正体を隠すこと』。
結果的に子どもを守ろうとした」
いもいもくんは、くやしそうに続けた。
「けど、その秘密もスターサバイバーにバレた。だから奴らは子どもを人質に取ったんだ。
そして大戦の英雄である、七つのつるぎの子どもたちも、人質に取られた!」
「それで、七つのつるぎは人類を裏切った……自分の子どものために……」
放心した様子のハロウに、いもいもくんは語調を強めた。
「神秘性でつるぎが生まれるんじゃない。つるぎの資格とは確かに存在する親子の絆にある。
親子の絆が強ければ強いほど、良い親であればあるほど、つるぎになるんだ。
けど、でもよ……それゆえに、彼らは我が子を見捨てることができなかった」
人類の未来と我が子という天秤において、あるいはテレビのヒーローであれば未来を選ぶかもしれない。
だが自らの腹を痛め、膨大なる時間を費やして育てた、いじらしい目の前の我が子と、自身の背後に広がる人類の存亡を天秤にかけたとき、果たして実際に「未来」と断言できる親は何人いるだろうか?
いもいもくんがぐっと目を瞑ると、大粒の涙が零れた。
「愛ゆえに彼らは裏切ったんだ……」
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