第五話 6と6・5のつるぎ

12/19
前へ
/169ページ
次へ
いもいもくんは再び大きく頷いた。 「そうだ。子どもたちの危機に、子どもは親の助けを切に願った。 それによって子を守るヒーロー、こどものつるぎが生まれた。 その力の源はやはり子どもの創力だ。 バレてはまずいと、つるぎたちはある協定を決定した。それは『正体を隠すこと』。 結果的に子どもを守ろうとした」 いもいもくんは、くやしそうに続けた。 「けど、その秘密もスターサバイバーにバレた。だから奴らは子どもを人質に取ったんだ。 そして大戦の英雄である、七つのつるぎの子どもたちも、人質に取られた!」 「それで、七つのつるぎは人類を裏切った……自分の子どものために……」 放心した様子のハロウに、いもいもくんは語調を強めた。 「神秘性でつるぎが生まれるんじゃない。つるぎの資格とは確かに存在する親子の絆にある。 親子の絆が強ければ強いほど、良い親であればあるほど、つるぎになるんだ。 けど、でもよ……それゆえに、彼らは我が子を見捨てることができなかった」 人類の未来と我が子という天秤において、あるいはテレビのヒーローであれば未来を選ぶかもしれない。 だが自らの腹を痛め、膨大なる時間を費やして育てた、いじらしい目の前の我が子と、自身の背後に広がる人類の存亡を天秤にかけたとき、果たして実際に「未来」と断言できる親は何人いるだろうか? いもいもくんがぐっと目を瞑ると、大粒の涙が零れた。 「愛ゆえに彼らは裏切ったんだ……」  
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

649人が本棚に入れています
本棚に追加