第五話 6と6・5のつるぎ

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いもいもくんがその小さな身体で、慎重に、窓から覗くと、雷光によって浮かぶ男女の影があった。 見覚えがある2人だ。 「ありゃ、つるぎ人形じゃねえか」 地下施設で、マダムが、『グナイゼ』と『アーリイ』と呼んでいた、こどものつるぎレプリカの2体だった。 こどものつるぎレプリカ、マダムがCS-Rと呼んでいた計画で、精巧な人形を創力によってこどものつるぎにするというものだ。 いもいもくんは彼らを嫌味を込めて「つるぎ人形」と呼んだ。 グナイゼとアーリイはみすぼらしい格好だ。そして交互に、こう続けた。 「どうか、お逃げくだちゃい」 「つるぎが捜してるよ」 「これは罠でちゅ」 「そのまま隠れな」 奇妙な口調の2人だった。 グナイゼと呼ばれる長髪の美男子。耳を黒く長い髪で隠し、赤ん坊言葉を思わせて語尾に「ちゃい」や「でちゅ」と付けた。 アーリイと呼ばれる鳥の巣のような金髪(今は雨に濡れてワカメのようになっていて目が隠れた彼女。)は、まるで90歳のおばあさんのように粗雑で無駄を省いた、達観した喋り方をしていた。 またその訴求も奇妙だった。 しづくに対して、「そのまま隠れていろ」と連呼しているのだ。 いもいもくんの背後で、ハロウも2人の様子を観察していた。 「お、お、おれ……行ってみる」 緊張から震えた声だ。いもいもくんは怒気をあらわにする。 「チョー馬鹿! 罠だ、間違いなく……!」  
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