しづくの詩歌《しいか》-創力をあなたに②-

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石油は不足している国のタンクに。プラスチックは大きな塊にして、文房具やおもちゃを作る工場のところに。 金属も、あって損のない工場の駐車場にでも、プレゼントしよう。 なかにはまだ、修理したら使える家電もあることでしょう。それらも修理して、欲する人のもとに送っておこう。 もちろん、彼らは寝て起きたら、欲しかったピカピカの電子レンジがあることに、疑問を抱かない。 あのフィルターの作用とは逆のものを想像し、前からあったかのように、与えていこう。 いらないもののなかにある、使えるものは、適材適所のその場所に返したことにしよう。 そうすれば、ついでに、経済も少し潤うことでしょう。 塊に残ったのは、地球上で存在してはいけない産業廃棄物やどうしようもない錆びた鉄など。 そして、病原菌を持った害虫。 ここで、僕は興味が沸いてしまう。 これが、恐らく人間の持つ純粋な興味なのでしょう。 地球上から取り払われた、人間にとって、どうしようもなくいらない物の集まりを、一つの星にしてみたくなる。 名前はそう、『芥星(あくたぼし)』と呼ぼう──。
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