645人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
「あー、どうしよう。最後の子、見つけちゃった」
彼らの第一声がそれだった。女性の声だ。
「な、なな、何だ、お前ら、なんだよ!」
ハロウは立ち上がり、巨大な影を指差す。
しかし、彼らはハロウに構わない様子で、何やら相談をはじめた。
「残り一人じゃ、奴らを誤魔化せない」
「これじゃあ、あの作戦が通用しない」
「引き渡すしかない」
腹に響くような老いた男の声、子育てを終えた頃の女の声、若い女の声。そんな会話だった。
ハロウはしづくを守るように、腹に抱いた。しづくがハロウの腹の衣服を握る。すると、いつの間にか藁を握っていた。
ハロウは左腕を切られ、身体のあちらこちらから、藁の束が飛び出している。
「藁人間? つるぎの生き残りかしら?」
ようやくハロウの存在に注目が集まり、そんな女の声がした。
「最後の子だ、何が飛び出してもおかしくない」
「どうするの、あの子、連れて行くの?」
「それしかない」
「ようやく居場所がわかった。何か事故があったんだろう」
直後、再び巨大な腕が伸びた。巨大な指先で、ユンボのショベルほどある。
親指と人差し指が、真っ直ぐに、しづくに伸びた。
「ふざっけんなっ!」
最初のコメントを投稿しよう!