先輩添乗員からの引継ぎ

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先輩添乗員からの引継ぎ

キヨミとは高校時代、同じ部活でわりと仲よかったの、 今日、久しぶりSkypeでいっぱい話したの、 キヨミは高校出てから観光専門学校に行って、それから地元の旅行会社に就職、 今は添乗員、昔で言うところのバスガイドの見習いをやってるの、 その日も先輩の添乗員と一緒に観光バスで日本海の●●●を周ってたんだって、 その日の日程が終わって、一行はホテルに到着、運転手と添乗員のキヨミと先輩にもホテルの部屋が用意されていたの、 キヨミと先輩は同じ部屋で、部屋の前にくると、なんか空気が変わった気がして、じっとり湿った感じでとっても嫌だったんだって、 最初にキヨミが部屋に入って灯りのスイッチを探そうとしてたの、 座卓ってあるじゃない、和室の畳に上に置く大きなテーブル、その部屋に大きな座卓があったの、 その座卓の下は真っ暗で何も見えないんだけど、なんか黒い塊が動いた気がしたんだって、 その黒い塊がゴニョニョ動いて座卓の下からにゅ~っと出てきたんだって、 で、ぬ~と出てきたモノに、廊下の僅かな灯りを反射する何かが二つ付いていたんだって、 それ、よく見たら人間の目だったの、 座卓の下の暗がりから、にゅ~って女の人の生首が出てきてキヨミを睨んだんだって、 キヨミ、怖くて、叫ぶことも、泣くことも、失神することも、その生首から目を逸らすことも出来なくて固まってたんだって、 そしたら、後ろから先輩のドスの聞いた声が響いてきて、 「あのさぁ、ワタシたち仕事で疲れてんの、でっ明日の朝も早いんだから、ちょっと、いい加減にしてくれる」 生首は一瞬驚いた表情を見せて悲しそうに消えていった、 「あいつら何もできないから放っておいていいよ。最初にガツンと言ってやりゃ出てこなくなるし」 先輩は制服をハンガーにかけながら 「この手の古いホテルには曰くつきの部屋の三つや四つは当たり前だよ、自殺した人がいないホテルなんて無いんだから、金を落とさないアタシら添乗員に割り当てられるのは、お客を泊めれない、売り物にならないこんな部屋ばっかだよ」 「だからね、添乗員の仕事はねぇ、いちいち地縛霊や浮遊霊におたついていたらやってられないよ」 「まぁ、でも、キヨミちゃんもそのうち慣れるから大丈夫」 そう言いうと、先輩は下着のまま胡坐をかいて豪快に缶ビールを飲み始めたんだって、
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