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よもやピザを吹き出しそうになりながらなんとか押し留め、笑う健吾を睨む。
「へ、変な事言わないでよ」
「お? いつもの雫なら『そんなわけないだろ!』って言うところなのに。連れてきたみたいだな。やるなー、お前も。ま、知ってたけど」
「ご、誤解するな! 連れてきたって言っても、あの時はいろいろアクシデントがあって、少しの間僕の家に居ただけの話だから」
僕の寝間着を彼女に貸した、などと言えば話の方向がおかしくなると察し、簡潔に伝える。
すると健吾は何故か口をあんぐり開いたまま、その口からピザをぽろっと落とした。
「雫、まさかお前まだ食って……付き合ってねえのか?」
「はあっ!?」
「いや、おかしいだろ。なんで両想いなのにまだ付き合ってねえんだよ。もう夢野先輩が卒業して一年近く経ってるんだぜ?」
「いや、いやいやいやいや」
突拍子もない事を抜かす健吾に、僕は大きく首を振った。
───僕と夢野さんが、両想い……? 付き合う……?
「雫、お前勉強は得意でも恋愛は苦手なのか? はっきり言うぞ? どう見てもお前らは両想い。お前は先輩が好きで、先輩はお前が好きだ。これは確定」
「いやいやいやいやいやいや」
支離滅裂な事を言う健吾に必死に否定の言葉を投げかける。
僕が夢野さんを好き?
神である僕が人間である夢野瞳に恋をしている?
どんな創作物語だ。
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