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「僕は城野健吾。よろしく!」
「僕っていう一人称が凄く気持ち悪い気がしてきた」
「んでだよっ! でもまあ、雫に僕は似合わねえよ。俺様思考の方がもっと夢野先輩に惚れられるかもしれねえぞ?」
好きだと気づき、彼女の気持ちが気になった。
健吾は夢野さんの方も僕を好きでいると断言しているが、それは人間の勝手な想像に過ぎない。
仮に僕がもっと男らしい口調で話すようになれば、彼女は僕に興味を持ち続けてくれるだろうか。
籠った空気、上がった体温が嫌で僕は部屋の窓を開けた。
健吾は「さむっ」と身震いし、僕は窓から入り込む冬の風を受けても、下がりきらない体温に苦笑いした。
瞳に映る光景は、闇の中に輝く星々のおかげで、すこしだけ美しく見えた。
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