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俺は彼女を見つめたまま、小さくため息を吐いた。
彼女の寿命を知っておきながら、俺はその事実をいつしか受け止めきれなくなっていた。
見守っているうちに、それがどれほど悲しい未来を運んでくるのかばかりを想像し、だからこそ何かを変えようと幾度となく忠告した。
理由などない。
それこそが、俺が存在する価値と結びつく。
俺は今、彼女を見つめている。
その瞼が再び開くとき、彼女が見つめているのはきっと、俺ではない。
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