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私は何も言えなかった。
でも、言うべきだったんだ。
責めるでもいい
文句を言ったり
問い詰めたりでもいい。
止めて欲しいと
お願いするでもいい。
あの時に、言うべきだった。
言えなかったからいま
私たちはこんな風に
大きくすれ違っている。
温人さんはあの日から
毎日帰りが遅くなった。
同時にマダムからの
過剰なリクエストも
パタリと止んだ。
そのふたつの事実から
導き出されるのは
温人さんが個人的に
マダムの相手をしているということ。
ホテルの外へと
マダムに観光案内をし
ホテルの中でも
マダムをエスコートし
ともにディナーへと向かう。
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