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12月某日
日が短くなりすっかり暗くなってしまった外界に包まれるようにして、その教室は光っていた。その光は、教室に残った彼女と彼だけのものだった。ついでにいうと、焚かれたストーブも、この時間だけは彼女らだけのために働いていた。
ほかの生徒たちはとっくに下校、または部活動に行ったというのに、帰宅部の彼女らは一向に帰宅する様子を見せなかった。教室に残ってはいるものの、特別何か用事があるわけでもなく、ただただダラダラと二人で時を共にしているようだった。
彼女と彼は、前後の席に座り、スマホをいじっている。前の席に彼が座り、背もたれを跨ぐように足を広げて後ろの彼女と向かい合うようにして座っていた。
二人とも同じアプリゲームを開いていたが、そのゲームに協力して物語を進める要素などは特にない。個々で遊んでいる。
ぽつりぽつりと会話をしつつ、指はしきりに画面の上をなぞっていた。
「なあ」
「なに?」
彼の声かけに、彼女が応える。
「寒くて全然帰る気しない」
「それな」
ここで一旦会話が途切れる。しかし、別に気不味い沈黙ではない。彼女らは、無言も心地よく感じられる関係性であった。
「よっしゃ落ちコン!」
彼の唐突な喜びが、教室に響き渡る。
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