12月某日

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それを皮切りに、彼女がさっきの話題に対してのコメントを遅れて発する。 「日が落ちれば落ちるほど冷えるんだから、ますます外に出る気がなくなるじゃん。早く帰るに越したことないよ」 「それな」 言うが早いか、彼女らは帰宅の準備を始めた。ブレザーの上から、キャメルのコートに袖を通す。 「そういえばね」 ぽつりと発した彼女の声ではあるが、放課後のひっそりとした教室にそれはこだました。 「うん?」 彼が、マフラーを巻きながら首をかしげる。 彼女もくるくるとマフラーを巻き始めた。 そして話す。 「イルミネーション、観に行きたい」 「それな」の返答はなかった。代わりにあったのは、 「僕、人混みが苦手だからさあ。だから帰り道に、信号機とか車のライトとか見ながら帰らない?中々綺麗だよ」だった。 彼女はコクリと頷き、彼の手を取る。 「相変わらず変な奴」 「それは君もだよ。なんせこんな提案を良しとしちゃうんだから」 「それな」 ストーブと電気を消し、彼女らは教室を後にした。スイッチを切ってからしばらくは音を立てていたストーブも、今では静かになった。そこにはすっかり静寂に包まれた教室があるだけであった。
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