78人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
轟音を受け、大気と大地は大きく揺さぶられた。森全体が激しく揺れ動いているような感覚に足を取られる。昔絵本で読んだ、島だと思って生活していたところが実は大きな生き物の背中だったという話を思い出す。それくらいの衝撃だった。
「これから大乱闘ですねー」
「……そんな感じがしますね」
「んじゃんじゃ、シャルは飛び出してちょっとしたらGO!!って言いますから、そのタイミングでちびっこ探索行ってきてくださいなー」
シャルさんの言葉に頷く。それまではここで息を殺しておこう。いつでも退却できるように体勢を整えた。
コーネリアスさんの手足の装具が鈍く光り、霧が噴き出す。
「は!?なんだこれ!!」
「意味わかんねぇ!!あっつ!ふざけんなクソが!!」
霧だと思ったそれはどうやら高温の蒸気らしい。獣人もダークエルフの男もひどく驚いた顔をしていた。そして衝撃のあまり膝をついた人間達が武器を落とし、あるいは投げ捨て、それぞれ撤退を始めようとする。
「こんなもんやってられっ……ぐぁ!!」
そこへ飛び出したのはデイルさん。唸り声をあげ、盾で人間二人を纏めて吹き飛ばす。
「ひっ……ひいぃぃぃ!!」
「させるかよ!!!」
逃走を始めた残りの一人も逃すまいと、倒した人間を片手で軽々と持ち上げ、そのまま投げ付けた。見事命中し、短い悲鳴があがる。
「チッ……邪魔すんなクソ犬がよおぉぉお!!!」
「黙れクソ猫!」
そこへ迫るのは山猫型獣人。横から斬りかかるもその刃は瞬時に体を捻ったデイルさんの剣に受け止められ、盾で殴り飛ばされた。
最初のコメントを投稿しよう!