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豊田信久と飯星篤司は中学からの親友である。
昨年二人は同じ高校を受験し合格した。
何でも一緒に行っていた二人だが、部活動だけは別々だった。
豊田は文化系の美術部で、飯星は体育系のバスケットボール部だ。
飯星はバスケ部に入っているからだろうか、かなりの長身である。
「篤司、てめぇ何でそんなん早く背ぇ伸びるんだよ」
豊田は飯星を少し見上げながら言った。
「何言ってんだよ、ノブ。お前だって175あるくせして、俺なんかもう伸びなくていいってのに伸びやがって。まぁ、それが部活ん時は強みにもなるけどさ」
背が高い奴だって高いなりに悩みは持っている……という感じで飯星は言った。
「篤司は女にモテんだろ?中学ん時からもそうだったもんな。俺、あん時まだ160無かったからさ、お前と並んでてもみんなお前の方見ちまうし」
「そんなこと言われてもな……俺はちょっとまだ女に興味ないっての。キャーキャーうるさくてさ、そういう子たちは苦手だ。こっちは一生懸命バスケ練習してるっていうのに……」
とブツブツ言って、豊田の前を歩いていった。
豊田は飯星が女にモテるというヤキモチとは裏腹に女には興味がないというところに、何故かホッとしていた。
「それじゃあ、俺、部活行くからな」
飯星がいきなり立ち止まり、振り向いたのでぶつかりそうになり、びっくりした豊田だったが「あ、あぁ、俺も」と、互いに部室へと足を向けた。
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