Classmate

3/13
前へ
/13ページ
次へ
 美術部部長の久堂博子(くどうひろこ)が手をぱんぱんと叩き、部員全員にこちらを向くようにしてから話す。 「えぇ、皆さんに今度の高校美術展に出品してもらう作品を、今週いっぱいで締め切って提出してもらいたいと思いますので、早く仕上げに取りかかる様にお願いします」  豊田たちと同じ高校2年生の博子は、2学期になってから美術部部長を引き継ぎ、部員を引っ張っている。  17歳の割には落ち着いていて、男女問わず先輩後輩問わず好かれるタイプである。  博子は、私も取りかかろうっと、という風に美術道具を持って、豊田の所まで近づいて来た。 「豊田くん。あなたも体育館で部活動の風景を描いてたわよね。一緒に行きましょ」  豊田は断る理由もなかったので、道具をまとめて博子について行った。  体育館へと続く渡り廊下を歩いていく。  中庭へ目をやると、黄色く色づいた銀杏の葉っぱが風に吹かれてゆらゆらと揺れ、数枚散っていった。  バレーボール部とバスケットボール部の練習している声が聞こえてきた。  それと同時に女子たちのキャーキャー声も聞こえる。 「久堂」 「はいっ?」  先を歩く博子は、豊田に呼ばれて振り向いた。 「久堂はバスケ部のある奴を描いてるだろ?そいつのこと好きなのか?誰なんだよー」  横に並んだ豊田は、博子を肘でつつきながら聞いた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加