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白く強い光が、瞼の裏側まで突き刺さる。遠くのほうから、波の音がかすかに聞こえてくる。薄っすらと目を開くと、壁に掛けられた自分の服が視界に入った。
「トオル?」
ベッドの脇から、不安そうな声音が聞こえてきた。身体を起こそうと身じろぐと、腰のあたりが鈍く痛むのを感じる。
「……大丈夫?」
懐かしい音に一瞬驚き、声の持ち主と視線を合わせる。
「日本語……」
ユージンは透に向かって寂しげに微笑む。
「憶えていないかな、僕のこと」
そう言ってベッドへ腰掛け、透の髪に触れながら続ける。
「砂浜に座る君を見つけて、奇跡だと思ったよ。まさか僕を探しにきてくれたのかと思った」
髪の一本一本を慈しむように指先でそっと持ち上げる。
「でも君はいつまで経っても動かないし、僕の顔を見ても何も言わなかった」
「……」
「僕たちは子供の頃に会っているんだ……日本で」
手の温もりが、一瞬で離れていく。
「父の仕事で一年間、日本にいたんだ。帰国する一ヶ月前に、学校の帰りに空き地でボールを蹴っているトオルと出会った。トオルは僕を誘って、一緒にボールを追いかけて……」
掌をじっと見つめながら、呟くように続ける。
「短い時間だったけれど、僕にとっては忘れられない思い出だった。君のことを、ずっと――」
「気づいていたよ」
伏せられていた瞳が、透へと向けられる。アクアグリーンの色が鮮やかに変化する。
「途中から、だけど……君はもっと小さくて、髪も長くて……色だってもっと明るい金色だった。それに」
「それに?」
「ジーン、君はそう言っていた。あの時君は日本語を話せなかった」
今度こそはっきりと、ユージンは顔を綻ばせた。
「そうだ、ジーンは僕のニックネーム。髪の色はだんだんと変わってしまった。ユージンと言ったのは、君が僕をまったく思い出す様子がなかったから、それで、その……」
「腹が立った?」
「うん、まあ、そういうこと」
ユージンは照れ臭そうに頬をかく。
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