青い海、夏の嘘

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 * 「トオル」  突然現れたその姿に、声も出ないほど驚く。  必ず会いに行く、待っていてと言われても、その言葉をどこまで信じて良いのかわからなかった。もしかしたら二度と会うことも叶わないかと、心を引き裂かれる思いで別れを告げたのは、わずか一週間前のことだ。 「どうして……?」  透の反応はユージンを充分に満足させたらしい。楽しげに笑う姿を、透は呆然と見つめる。 「一年前から、日本で仕事をしていたんだ。言っただろう?君に会うために勉強したって」  動くことができないでいる透の手を取り、甲に軽く口づける。 「ずいぶん遠回りしたけど、君に会いに来た」  明るい陽射しの下で、彼の瞳がきらきらと輝く。 「さあ、行こう!」  透の手を引き、ユージンは軽やかに歩き出す。  夏は、まだ始まったばかりだ。
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