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「来たか」
俺はつい、そう呟いてしまう。
今朝から何となく気配は感じていたが......このタイミングで来るのであれば、こいつがあのミノタウロスの黒幕だな
確信した。
思わず頬が緩んでしまう。
「だ、誰だ!」
明らかに動揺している池上が声を張り上げる。
『いや~そこのヤマセ君だよね? キミ、間一髪だったね! 私が気まぐれで投げた槍がミノタウロスに当たってなかったらキミは殺されてたよ~!』
「ふ......」
気まぐれで投げたとかもうちょいマシなウソつけよ
と、依然として姿を現さない人物に対して、俺はそう笑いながら心中で悪態をつく。
「え......」
その人物の言葉に、山瀬はまだ状況が飲み込めないようで、首を傾げる。
それは皆も同じようで、困惑した表情を浮かべていた。
『では諸君、本題に入るよ』
「......!」
池上は自分の言葉を無視した謎の人物に怒りを覚えたようだ。
「あなたは一体誰なんだ! 隠れてないで出てこい!」
『もー煩い子だね! 本題に入れないじゃないか......ふん、まあ確かに失礼かもね』
そう聞こえた瞬間、俺がずっと凝視していた天井のところに、膨大な光と共にそれは現れた。
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