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2.デリートマン誕生
走った。駅を下りてから家までのいつもの道なのに、やけに長く感じる。
(グッチー…ほんとに消えたのか…)
嫌いだった。自分がこれまでの人生で出会ってきた中で1、2を争うくらい嫌いでダメなやつだった。でも、それでも自分に人を消す権利なんてあるはずがない。
マンションに着く。10階建てのマンションで部屋は5階だった。エレベーターが何階で止まっているかなど確認せず、階段を駆け上がる。
勢いのまま階段を駆け上がった方が速い気がした。玄関のドアを開け、乱暴にくつを脱ぎ捨てる。
部屋の間取りは2LDK。玄関を開けると小さな玄関ホールがあり、正面のドアを開けるとリビング。ホール、リビングに面した部屋がそれぞれ1つずつあるのだが、おれはリビングに面した部屋を寝室として使用している。
リビングを突っ切り寝室へ駆け込む。
パソコンが立ち上がり、デリートサイトが表示されていた。もう、ログイン後の状態になっていた。
「おい!おい!!」
パソコンに向かってそう叫んだが、反応はない。
(そうだ。メッセージ)
乱暴にキーボードをたたく。
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