(3)《よろづや》の頼もしいスタッフ?

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(3)《よろづや》の頼もしいスタッフ?

「さてと。一応開けてはみたけど、こんな早くから子供達が来る筈がないし、暇だわね。本当にボランティアだわ」  週明けの月曜日の午後。準備を済ませた千尋は十三時に店を開けたが、公園の外周に接した目の前の道路に人通りはなく、当然、《よろづや》にも客は入って来なかった。 「なぉ~ん」 「来店者第一号が、猫とは泣けるわね」  店を開けてから30分程、入り口に設置してあるレジカウンターで頬杖を付いていた千尋は、開けてあった入り口から悠々と見覚えのある黒猫が入ってきた為、本気でカウンターに突っ伏したくなった。しかし何とか気を取り直し、立ち上がって猫に向かって皮肉っぽく声をかける。 「あのね、一応ここは食べ物を扱っているから、動物の出入りは望ましく無いんだけど?」 「にゃうっ!」  店の奥に向かって歩いていた猫は、その歩みを止めて千尋に振り向きざま一声短く鳴いてから、何事も無かったかのように再び歩き出した。そして小さな木製の丸椅子に到達すると、そこに飛び乗って丸くなる。 「……聞いているわけないのに、私、何を真面目に相手してるのよ」     
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