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「さっき買った縄跳びで、妹に教えようと思ったけど長いの。持ち手の中に余分な分を押し込んで調節しても、まだ長くて」
「なるほどね。ちょっと待って」
小学校高学年に見える姉が困ったように差し出してきた、縄跳びの透明な持ち手部分を見た千尋は、そこにぎゅうぎゅう詰めになったビニール製の紐を見て、カウンターの引き出しを開けた。
「えっと、鋏、鋏っと。……あれ? 筆記具とか領収書とか、糊までここに纏めてあるのに、どうして鋏やカッターの類が無いのよ?」
若干焦りながら千尋が机の引き出しを漁っていると、いきなり店の奥から猫の泣き声が響き渡った。
「にゃっ! にゅあっ! にやぁ~っ!」
「あ? ちょっと五月蠅いわよ! こっちは忙しいんだから、静かにしてなさい!」
「にゃっ! なぁっ!」
思わず叱り付けた千尋だったが、猫は奥の戸棚の引き出しに向かってジャンプしつつ泣き叫んでおり、彼女は苛つきながらそこに向かった。
「ちょっと! そこに鰹節でも入ってるっての? いい加減にしなさいよ? 全部まとめて捨ててやるから!」
そして彼女は、猫が前足でタッチしていた引き出しを勢い良く引き開けたが、そこに入っていた物が目に入った瞬間固まった。
「……え?」
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