(3)《よろづや》の頼もしいスタッフ?

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 そこには鋏やカッター、ドライバーなどが整然とケース類に入って並べられたおり、千尋は思わず足元に目をやった。そこにはもう飛び上がったりはせず、おとなしく無言で自分を見上げている猫がおり、彼女は内心で動揺する。 「お姉さん?」 「あ、ああ、ごめんなさいね? 鋏を見つけたから、切って調節してあげるわ」  しかし怪訝そうに少女に声をかけられた千尋は、我に返って鋏を手にカウンターに戻った。 「これで大丈夫かしら?」 「うん」 「ちょうど良いね。ありがとうございました」 「どういたしまして」  妹の身長に合わせて紐を切り、元通り持ち手の留め具を填め込んだ千尋は、満足した姉妹を見送ってから、店の奥に視線を向けた。そして幾らか逡巡する素振りを見せてから、控え目に声をかける。 「その……、クロとやら……」  その声に、椅子の上にいた猫は、無言で顔を上げて千尋を凝視してきた。そんな猫に向かって、千尋が素っ気なく礼を述べる。 「偶然でしょうけど、さっきは助かったわ」 「なぅ」 「……本当に状況が分かっているわけ?」  小さく頷いたクロは、まるで「気にするな」とでも言うように短く鳴いただけで、再び頭を下げて目を閉じた。それに懐疑的な目を向けながら、千尋は小さく溜め息を吐いた。
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