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(4)面倒くさい父親
その日の夕食時の話題は、もっぱらクロ一色となった。
仕事で帰宅が遅くなる義継を除いた田崎家全員が顔を揃えた席で、理恵から「お店は今日からだったけど、どうだった?」と心配そうに尋ねられれば素っ気なく答えるわけにもいかず、千尋は開店からのあれこれを順序良く語って聞かせた。
「それで……、今まで言った他にも、ゴミ袋を切らしていればそこのロッカーを叩くし、無くなった商品在庫の前で鎮座して鳴いているし。細かい所で店を閉めるまで、色々助けられたのよ」
そう話を締めくくると、この間興味津々で姉の話に聞き入っていた聡美と健人は、すっかり感心した風情で感想を述べた。
「その猫、すごいね」
「あたまいいね~」
「うん、まあそれは認めるし、釈然としない所はあるけど……。素直に助かったと思っておくわ。本当にもの凄い確率での、偶然だったのかもしれないけど」
「でもお店の事を知り尽くしているスタッフが居ると思えば、随分気が楽よね。営業までやってくれているなんて完璧よ」
「本当ですよね。それに経費はかからないし」
思わず理恵も笑いながら会話に加わると、千尋も苦笑で返す。
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