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「これから大事な話をするから、ちゃんと聞いてくれるかな??」
と、私の顔を見てきた。
「なんなの?? もう発疹もなくなっているし、私全然げんきだよ。
検査も異常なかったって言ってたじゃん、何を話すの??」
いつもとなんか違う……。そう感じた。
それから聞いた話は、意味不明な病名と、その症状、そして治療法と対処法だった。
小さい頃から、原因不明の皮膚病と言われてきたそれに、ちゃんとした名前があったことを聞かされた。
『恋愛アレルギー』
世界でも症例の少ない、未だ対処療法しかない、完治報告のない病。
医師には、患者が15歳を迎えたら、告知をする義務があり。
患者のこれから先の人生、親から本人に、治療の決定権が移るということだった。
まず、意味不明でしょ……。
誰かに恋をすると発症して、初めに手の甲に発疹が出来始め、手の甲から腕に伸びていき、どんどん全身へと広がっていく。
そして、次第に免疫力が低下して、別の合併症を引き起こす。
風邪をひきやすくなったり、熱を出したり、体の機能が弱くなっていく。
聞いても何を言ってるのか、よく分からなかった。
その病気を治療するのが、記憶を消すヘルメット型の機械で、恋していた記憶、恋する想いを、脳に電流を流すことによって消すというもの。
誕生日だからって、こんなドッキリ
度が過ぎている。
「美緒ちゃんの初恋はいつかな?」
藤本の言葉に、また眉間に皺が寄った。
からかうのもいい加減にして欲しい。
藤本は、静かに
「美緒ちゃんの初恋はね、もう終わっているんだよ」
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