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沖縄本島南部のコンビニは手動の引き戸である。
そんな話が安里良修のところに飛び込んできたのは、卒論に行き詰っていた夏休みの事だった。
このコンビニは共同売店やマチヤグヮー(商店)というものではなく、全国展開している大手だ。当初は規格通り自動ドアだったのだが、あまりにも不可解な事が起こるので手動の引き戸にした…というのだ。
「出た。都市伝説。大方、台風の時に壊れたからとかそんな理由じゃないの?」
良修はこの話をしてきた大城紘にそういった。
「いやいやいやいや。わからんよ? だってI市にあるらしいぜ? そのコンビニ。たまたま怪談サイトで見つけたんだけどさ。ホントかウソか。ちょっと興味ないか? お前、卒論のテーマ、怪談なんだろ?」
「そうだけど。それ、怪談っていうより都市伝説だから。南部=沖縄戦=兵隊の幽霊、不思議な出来事みたいなさ」
「まぁまぁ、どっちでもいいからさ、行こうぜ!」
「だ・か・らー俺がテーマにしてるのは人が怪談を語る心理と役割であってだな」
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