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「まあ、これは俺の都合であって。あんたが謝ることやないんやけど」
走るのをやめたから寒いのか、家門さんは身をすくめ鼻をすすった。
「寒いなら走ってくださって大丈夫ですよ。もうここ、だいぶ明るいですし」
「あんた、俺に知らん土地で怖い思いした女、夜道に置いていけって言うんか」
「でも……」
「こんなんで風邪なんか引くか。そうならんように毎晩走ってんねや」
そうはいっても、ランニングスウェットの薄さはなんとなくわかる。
バッグの中にフリース素材の小さいスカーフを放り込んであることを思い出した。
真冬はマフラーをするけれど、今くらいの季節にはこれだけで充分だ。
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