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「あの、これ……洗いたてで。まだわたし、使ってないので。よかったら」
差し出した濃紺のスカーフとわたしの顔を、家門さんは交互に見比べる。
「……借りるわ」
意地っ張りではないらしい彼は、顔を傾けた。
巻いてくれってことだろうか。
戸惑いながら彼の襟元にスカーフを巻き、切れ込みにもう片方の端を差し込んで固定した。
「サンキュ」
投げるように言って、家門さんは歩き出す。
慌ててそのあとについていきながら、スカーフを拒否されなかったことにほっとした。
「さっき……」
「はい?」
「さっき、タケちゃんに怯えてたあんたの顔見て、わかった」
「なんでしょうか……」
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